事例紹介

<渉外要素を持った相続案件への対応>

国際化が進み、外国に資産を保有する方がお亡くなりになる事例が増加しています。手に余るとして税理士の先生方にその部分の対応を断られたお困りの依頼者も多くおられます。

以下には、BLANのメンバーが直面した日本人の被相続人の相続財産に外国財産が含まれていた事案をご紹介します(事案は適宜改変しております)。

1. 外国の銀行口座の解約

相続財産に被相続人がイギリスに駐在中に開設した銀行口座があることが判明した(残高約1000万円)。遺言はなく相続人は2名で相続人間に争いはないものの、いずれの相続人も外国の銀行と直接やり取りをして解約・日本への送金を行うことは難しいと考えていた。

相談を受け、小島国際法律事務所が所属するネットワークのロンドンのメンバーに照会したところ、口座の解約・送金だけでなく、イギリスでの相続税・所得税の申告も必要であることが判明した。そのため、BLANのメンバーと小島国際法律事務所がそれぞれ各相続人を代理し、小島国際法律事務所を窓口として、必要資料の収集・イギリスへの送付を行うとともに、イギリス側で作成された口座解約の必要書類・税務当局への提出書類について確認・依頼者への説明を行ったところ、無事申告書の提出・口座解約と残金の日本への送金が完了した。

2. 相続財産にタイムシェアが含まれていた事案

被相続人の財産に米国フロリダ州のリゾートホテルの「タイムシェア」が含まれていた。複数人の相続人間に争いはなく、当該タイムシェアを換金することを希望していた。

「タイムシェア」は、不動産の共有、利用権の共有など、様々な形態がある。また、購入代金に加えて毎年の管理料の支払いも必要である。

メンバーから相談を受けて、当該タイムシェアがどのような形態であるかを確認し、現地不動産業者に相場を確認したところ100ドル程度でしか売却できる見通しがないことが判明した。被相続人名義の資産が残ることは回避したいとの相続人の希望があった(毎年管理費を払い続ける必要がある)ため、小島国際法律事務所のネットワークの現地法律事務所に依頼してプロベートの手続を行い、名義変更手数料を負担するのみで管理会社に権利移転して処分を完了した。